先週の休み、
香港の伝統的な食器を売っている
小さな店に行きました。
初めてここに行ったのは
香港に来て間もないとき、
ちょうど一年くらい前。
香港人の友達が連れて行ってくれました。

街の角にある、本当に小さなお店です。

(撮影の許可をいただいたのでパチリ📸)
小さい店には香港の伝統的な食器が
高く積み上げられています。
どうしてこの店を再び訪れたかというと、
このYouTubeを見たことがきっかけでした。
4:35~紹介されています。
家族やもうすぐ帰国する同僚に
お土産を買いたいと思っていたので、
この店に行くことにしました。
YouTubeで紹介されていた
手描きの「雞公碗」を買いたいと思って
行ったのですが、
「手描きの雞公碗はありますか」と聞くと
「もう売れちゃったよ!来るのが遅かったね」
と言われました😅
「雞公碗」とは、
ニワトリの絵が描かれたお皿のことで
香港で古くから使われているそうです。

マイ雞公碗🐓
雞公碗についての紹介はまた今度にします😄
この店の
「雞公碗叔叔(雞公碗おじさん)」
と呼ばれている老闆(店主)によると、
手描きの雞公碗は
YouTubeが公開されてから
すぐにたくさんの人が買いに来て、
もう売り切れてしまったということです。
買いに来たのはほとんどが香港人で、
移民する前にお土産として
たくさん買っていった人もいたそう。
雞公碗以外に
香港の伝統的なデザインはありますかと聞くと
色々なものを紹介してくれました。
すると、
「你唔係本地人呀(こっちの人じゃない)?」
と聞かれ、そこから色々な話をしました。
「この店には香港の伝統的な食器が
たくさんありますね」と言うと
「そうだね、でも、どれも
これから先もあるかは分からないね。
この商売も、私たちの代がやらなくなれば
いずれなくなってしまうからね」
と、老闆。
ふと、以前授業で
「伝統工芸」について話したとき
ある学生が
「伝統工芸はお金にならないから、誰もやりたがりません。
だから、
香港から伝統工芸がなくなっていくのは
当たり前のことだと思います。
でも、日本にはたくさんの伝統工芸が残っていますね。
日本を旅行したとき、
古い店がたくさんあって本当に驚きました。」
という言葉を思い出しました。
香港は家賃が高いことで有名ですが、
さらに年々家賃が上がっていくので
自分の土地でない限り
同じ場所で長い間商売をするのは
困難だと聞いたことがあります。
事実、香港の老舗と言われる店が
相次いで閉店しています。
中環の蓮香樓
油麻地の美都餐室
灣仔の快樂餅店
など⋯⋯
行ったことのない店も多いですが
それでも惜しいなぁ、と
思っていたのです。
この老闆は
このことについてどう思っているんだろう。
そう思って、
「最近、香港の老舗がどんどん閉店していますね」
と言ってみました。
すると、
「この道(店がある道)にある
《源記糖水》という店、聞いたことがある?
あそこも歴史のある糖水舖だけど、
コロナウイルスの影響で店を閉めてもう長いよ。」
と教えてくれました。
老闆が言った《源記》、
以前この食器の店に行ったとき
友達と立ち寄って糖水を食べたお店です。


この店の糖水、とても美味しかったのに⋯
「私たち街坊(地元のお客さん)が
『いつ営業再開するの?』と聞いても
営業再開は未定だって。
コロナウイルスは
香港の古い店に大きな打撃を与えているよ」
と、老闆。
この話題をきっかけに、老闆は
「あなたはどんな仕事をしているの。
その業界にコロナの影響はあった?」とか、
「日本のコロナの影響はどう?」とか、
色々聞いてくれました。
自分の業界も、他の業界も
少なからず影響を受けています、と言うと
「やはりそうだよね。
でもね、日本も状況は厳しいようだけど、
香港に比べたらまだ自由だと思うよ。
私たちはコロナ禍でずっと
締め付けられてきた。
これからまたどんな新しい締め付けが
あるか分からない。」
そう話してくれた老闆の表情は
これまでの優しい顔とは違って
とても厳しい表情でした。
語気も強くなったのが分かり、
憤りややるせなさを感じました。
ここまで話し終わったところで、
お客さんが続々とやってきました。
気づけばもう空が暗くなってきていました。
そろそろお暇の時間か⋯。
最後に何か言いたくて、
でも、何と言えば良いか分からず
「この店は長く続いてほしいです。また必ず来ます。」
と言いました。
もっと広東語が上手なら
もっと上手いことが言えたのにな⋯
と、心の中で思っていると
老闆は笑顔で
「好呀!祝你身體健康啦」
(「ええ!元気でいてくださいね」)
と言ってくれました。
「大家咁話啦」
(「お互い元気でいましょう」)
と答えて、さよならしました。

香港の移り変わりをずっと見てきた老闆
とても優しい人でした。
手描きの雞公碗は買えなかったけど、
忘れられない時間になりました。
西營盤の正街という道にある、
小さな食器の店。
皆さんも是非行ってみてください。

